2020年5月10日日曜日

ブラジルのクンツァイト

ブラジル


色によって、「ヒデナイト」や「クンツァイト」と呼ばれ、宝石としても人気の鉱物。

輝石の一つで、以前書いたエジリン輝石と同じグループとなります。

前に書いたエジリン輝石の記事↓



名前:クンツァイト
英名:Kunzite

組成:LiAlSi2O6

モース硬度:6.5-7

晶系:単斜晶系

分類:珪酸塩鉱物

(mindatより)




高さ約2cmで、2019年の9月あたりに横浜で開催されたミネラルショーで手に入れたものです。

ほぼ無色なのでリシア輝石、またはスポジュメンと呼ぶか悩みましたが、ラベルに従い、今回は「クンツァイト」として紹介しますね。


冒頭で書いたとおり、クンツァイトは輝石というグループのリシア輝石と呼ばれるもので、輝石のなかで最も硬度が高いものです。



リシア輝石は、リチウムを豊富に含むため、リチウム電池、またホウロウやガラスを作るための融剤として利用されます。

不透明な、宝石にはならないリシア輝石も多い中、宝石となる高品質のもので、緑色系を「ヒデナイト」、ピンク色系を「クンツァイト」と呼びます。

つまり鉱物名ではなく、宝石名ということですね。

劈開があって壊れやすく、太陽光にさらされると色が褪せてしまうこともあります。

これも産地により違いがあるのですが、



ブラジル産は自然光に長く当てると色が薄くなると言われています。

画像のものはブラジル産なので、退色してしまった後ってことなんですかね笑

しかし、アフガニスタン産や、アメリカ、サンディエゴのオーシャンビュー鉱山で近年産出されたクンツァイトは、自然光を浴びると、ライラック色(藤紫色)からピンク色に変化し、その後安定するそうです。

他に、オーシャンビュー鉱山のビッグカフナポケット地域で2010年に産出したクンツァイトは、2日ほど太陽光にさらし続けたものの、全く退色しなかったとのことです。



板状の結晶に成長し、表面にはよく条線が見られます。

いやほんとつやつやしてて表面の条線がより際立ってます!

質感がトルマリンに近いような気もしますね。


多色性があるのもクンツァイトの魅力の一つですが、自分のはどこから見ても無色でした笑笑


マンガンの含有量が多いほどピンクが濃くなりますが、流通している色の濃いものの多くは、照射処理、加熱処理をして色を濃くしたもです。



自分が特に気に入ってるポイントは、てっぺんがトゲトゲしているところなんですが、「なぜトゲトゲしているのが良かったの?」と聞かれても、「良かったから!」という感じなんですが笑

でも、何か選ぶときの理由は、「ここがこうでああで」という選び方も楽しいですが、「良かったから!」「なんか好き」という選び方もありだと思うのですよ笑

あと、自分としては、一見自然の作った産物っていう見た目なのに、その中に「人工的に作ったのか」と思える幾何学的なものが見つかると結構嬉しいですね!



クンツァイトといえばクンツ博士。

少年時代から鉱物マニアであったジョージ・フレデリック・クンツは、10代の頃には、既に4千点以上の鉱物標本を集めていました。

書物による独学と、直接現地へ足を運んでの調査、採集、研究を続け、世界で最も著名な鉱物学者、宝石学者となりました。

現代でもクンツ博士のような方々がたくさんいらっしゃるので、これからが楽しみですね!


1876年、クンツ博士がグリーントルマリンをティファニー社に売り込んだことがきっかけで、グリーントルマリンは脚光を浴びるようになったと言われています。

これが、クンツ博士とティファニー創設者、チャールズ・ルイス・ティファニーとの出会いでした。
クンツ博士はティファニー社に迎え入れられます。



1902年、ティファニーの主席宝石鑑定士だったクンツ博士のもとに、カリフォルニア州サンディエゴで採掘された、ライラックピンクのリシア輝石が届けられます。

それは美しい宝石へと磨かれ、翌年、クンツ博士を記念して「クンツァイト」と名付けられました。

1907年にはティファニーの副社長に就任、その生涯を宝石の探求に捧げました。


メイン州の「トルマリン」をはじめ、モンタナ州では「モンタナサファイア」、アリゾナ州では「ガーネット」、ミシシッピー州では「天然真珠」と、貴重な宝石の発見に貢献しました。

今日、こうして様々な石たちを楽しめるのは、クンツ博士のみならず、多くの方々の飽くなき探求や情熱のおかげだと思うと、手元にある石たちがより一層大切に思えてきますね!

お読みいただきありがとうございました。

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