Bescedmice,South Bohemia,Czech
テクタイトに分類され、チェコのモラビア地方からボヘミア地方で産出される天然ガラス。
深い緑色が美しく、人気もあるため偽物も多いそうだ。
そしてこの画像のモルダバイトに限っては個人的な物語があるのです。
名前:モルダバイト、モルダウ石
英名:Moldavite
組成:SiO2
モース硬度:5-6
晶系:非晶質
分類:珪酸塩鉱物
実はモルダバイトは、僕が石の沼に落ちるきっかけとなった、始まりの石なんです。
今日は、そうなるに至ったいきさつを、お話させていただこうと思います。
いまから一年半前、2018年12月のある日
高校3年生だった僕は、母へのクリスマスプレゼントを探して、学校帰り、通学路ではない駅へと向かっていました。
お財布の中には千円札が1枚…
「これで何かいいもの買えないかな…」
当時の僕は、受験前でアルバイトもしておらず、限られたお小遣いでやり繰りをしていました。
うちには、ハッピーという名前の愛犬がいました。
母の溺愛ぶりといったら、自分の持てる時間とエネルギーのすべてをハッピーに注いでしまうほどでした。
雨の日も、雪の日も、嵐の日も、毎日朝夕散歩をし、どこへ行くにもハッピーを連れて行きました。
ハッピーも母が大好きで、母がすべて。
家のなかでも、片時も母のそばを離れませんでした。
そんなハッピーも、老犬といわれる年齢になっていました。
ハッピーが歳を重ねるごとに、母の中で不安と悲しみが大きくふくらんでいきました。
「ハッピーがこの世からいなくなってしまったら、私はとても生きていけない…」
いずれ来るハッピーとの別れを思い、心を痛めている母を少しでも元気づけたい。
そんな気持ちでプレゼントを探していました。
店内に入り、一階から順に様々なお店を見て回っていると、色とりどりの石たちが、所狭しと並んでいる光景に目が留まりました。
そう、母は以前から石が好きでした。
でも───
「石って高いんだろうなぁ…」
そんなことを思いながら、1つ1つ見てみると、
「思っていたより安い!これなら買えるかも」
僕に気づいたお店の方が、声をかけてくれました。
何を選んでいいのか分からない様子を察してくれたのか、お店の隅から隅まで石について説明してくれました。
「あの…できれば、エネルギーの強い石が良いんですけど…」
今では、エネルギーのことなんて考えたりしませんが、この時は本気で、
「ハッピーがあの世に行っても、母と繋がっていられるような、エネルギーの強いものを!」
と藁にもすがる思いでした。
僕がそう言うと、お店の方は色々考えてから、2種類の石を紹介してくれました。
その1つがモルダバイトでした。
たくさんがお話を聞いて、最終的に僕が選んだのはモルダバイト。
僕の当時の所持金でモルダバイトが買えるなんて、今考えてみるとびっくりです。
そして、クリスマス・イブ───
僕は内心ドキドキしながら、あのモルダバイトが入った小さな袋を母へと手渡しました。
母はいったいどんな反応をするだろう。
僕は、クリスマス前だというのに、わずかなお金しかなかったことを悔やんでいました。
「こんな小さな、ただの石ころ」
なんて思って、がっかりしてしまわないだろうか…
ところが───
中を見た時の母の驚きように、僕の方が驚いてしまいました。
「えー!?なんでモルダバイトー!?
なんであなたがモルダバイトなのー!?」
なんでも、母が欲しい石で、唯一持っていなかったのがモルダバイトだったとのこと。
そのことを知らないどころか、そこまで石に興味もなかった僕が、それを買ってきたということ。
さらに僕の所持金では、とてもモルダバイトは買えないはずだということ。
そんなことから、母は僕もびっくりするほどびっくりしたのでした。
「プレゼントは値段ではなく、気持ち」
この言葉の真意が身に沁みた瞬間でした。
奇しくも、この日、12月24日は愛犬ハッピーの誕生日。
ハッピーが少しでも長生きできますように…
そして母に、悲しみを乗り越えるための力を与えてください───
それから7ヶ月がたったある日、ハッピーは静かに天国へと旅立ちました。
今思えば、なぜあの日、なんとなくその駅に向かい、そのお店に入ったのか…
そして、そこで石を見つけ、お店の方がモルダバイトを勧めてくれたのか…
「とても生きていけない」と言っていた母は、今もちゃんと元気に生きていて、僕が贈ったモルダバイトをお守りのように大切にしてくれています。
こんな小さな石のかけら一つで、こんなにも喜んでもらえるなんて!
これが僕のすべての始まり
お読みくださり、ありがとうございました。
そんないきさつが…。
返信削除親孝行なお話に感動です。・゚・(ノД`)・゚・。
石の力、すごい…!(語彙力)
コメントありがとうございます!
削除石には人を動かす力があるなと感じた出来事でした!