2020年7月2日木曜日

中国の雌黄

中国貴州省


絵の具で塗ったかのような毒々しいほどの黄色い鉱物。

色々な呼び方をされてきて、人々と密接に関わってきた歴史があるそうです。

この記事を書いている少し前には、Twitterでハッシュタグとともに黄色い鉱物の写真を載せるブームも来ていたところです。




名前:雌黄、石黄
英名: Orpiment

組成:As2S3

モース硬度:1.5-2

晶系:単斜晶系

分類:硫化鉱物

(mindatより)


横幅約4cm、高さも約4cmの大きさで、げんかつぎさんでの購入品です。



この画像の、強い光沢の黄色い結晶が雌黄(しおう)で、赤い部分が鶏冠石(けいかんせき)だと思います。

雌黄のほうは黄色い葉っぱみたいですよね笑




上の画像2枚に赤い丸を付けた、オレンジがかった分厚めの結晶も、おそらく雌黄だと思います。

見た目が少し違うので、バリエーションが豊かで面白いですよね笑


元々、中国では鶏冠石とことを「雄黄」(ゆうおう)、と呼んでいたそうで、「雌黄」という呼び方もその当時のものになります。

今では「雌黄」のことを「石黄」と呼ぶことも多いですが、ラベルに従い「雌黄」としておきました。



古くには顔料として使われていましたが、「雄黄」「雌黄」と呼ばれる2つは当時曖昧な区別もされたそうです。

赤いものを「雄黄」、黄色いものを「雌黄」と区別されたようですが、黄色に近い鶏冠石や、赤に近い石黄もあるので大変ですね笑



上の画像で、母岩に付いてる細かい白い鉱物はピクロファーマコ石かなと予想してます。

個人的にずっと探していた石でもあるのでかなり希望的な予想ではありますが笑


雌黄自体はヒ素を含む鉱物で、さらに硬度が1.5-2となっているため、爪で引っ掻いても傷がつくということで、かなり扱いづらい印象はありますよね。



この鉱物にはヒ素が含まれています。
ヒ素と聞くと、1998年に起きた「和歌山毒物カレー事件」を思い出す方も少なくないでしょう。

ヒ素は無味無臭なため、こっそりとしのばせるには都合がよく、中世の時代から毒殺に使われてきました。

恐ろしい毒物というイメージが強いヒ素ですが、実は人体にもほんのわずかに含まれています。

19世紀にはパリスグリーン(エメラルドグリーン)という顔料として人気がありました。



ネズミを殺す殺鼠剤(さっそざい)として使われてきたほか、農薬や防腐剤にも使われています。

毒というイメージの方が強いヒ素ですが、最近では白血病の薬にも使われるようになりました。

毒と薬、この2つは表裏一体の関係にあるのです。

では何が毒で何が薬なのでしょう。



ある物質が、生物に与える作用が好ましいものである場合は薬とよばれ、好ましくない場合は毒と呼ばれるのです。

また、人間にとっては薬となるものが、他の生物にとっては毒になることもありますし、使用量や使用方法によっても、毒にも薬にもなるのです。

「必ず毒であるもの」と「必ず薬であるもの」は存在しないと言えるでしょう。

身近にあるものでも、量や使い方次第で毒になってしまうものもあります。

たとえばカフェイン、ニコチン、アルコールなどです。



ワクチンは毒をもって毒を制す医薬品と言えます。

ワクチンとは、あらかじめ毒性を弱めたり、なくしたりした病原体を体内に入れることで、その病原体の抗体を体に記憶させ感染症を予防、または軽減するものです。

薬には副作用があり、副作用とは目的以外の作用のことです。

副作用の中には好ましくないものもあり、それは薬の中の毒の作用とも言えるでしょう。

毒と薬は表裏一体、使い方によってどちらにでもなり得るのです。


お読みいただきありがとうございました。

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